何が問題か
移動量展開長
角度曲げにおける移動量の計算について、一貫した明確な根拠に基ずく、正確な物差し( 計算方法 )が無いので、
設計図面にもとずき、 正確な移動量を求めるという概念は無いようです。
このことは、CADで展開後の部品材料を角度曲げ作業後に、曲げた後の寸法を金尺(目視)やノギス(本来の精度の
高い使用方法がされていない職場が多く見受けられる。)で計測、あるいは、原寸図を作成し照合する、という寸法
精度の低い方法で展開長を確認し、必要があれば寸法修正をするという逆の作業を行っていることからも理解できます。


移動量は責任入力
特に、複数の角度曲げの場合、すこしの展開誤差が複数回積み重なって、結果、大きな誤差となります。
また、新規の製品についてCADで展開した部品材料を曲げても図面上の寸法が出ず、曲げた部品同士を組み合わせ
ると、精度が出ていないため嵌め合いが悪くなり、製品の品質に影響が出る場合も生じます。
この原因は、購入した展開CADの移動量計算方法(それぞれのCADメーカーが持つノウハウ)と、プレスブレー
キの移動量計算方法(それぞれのブレーキ製造メーカーが持つノウハウ)と自社の過去からの経験値と3者の移動量
の計算方法に差異があるからです。(CAD、プレスブレーキは責任入力が基本であり、通常は、経験値を入力します。)


正確な移動量の把握
これは、各社、各個人の持つ計算根拠が各様で、その根拠が不明確( 移動量の根拠にかかわる角度曲げの測定方法も各様)で、一貫した物差しが無く、その量も各様であり、何が正しいか把握できていないことに他なりません。
そのため、展開が悪いのか、曲げ工程が悪いのか、寸法検査方法が悪いのか、わからず責任の所在が不明確になりがちになります。
したがって、精度の高い製品の製作には、環境の変化に対応した移動量の物差しが無い以上、CADを扱う者と寸法精度の高い曲げ作業、寸法精度の高い検査手法による長年に亘る資料の蓄積(共通の物差し)が必要となります。
私も、数多くの試し曲げを行ってきましたが、結局は、複雑な角度曲げはCADで展開した曲げ加工前の部品の展開長に曲げ寸法を合わせざるを得ないため、関数電卓に頼り、金型を何度も付け替えるなど、多くの時間と無駄なエネルギーの浪費をしていました。

移動量と生産性
移動量にかかわり、曲げ環境が変われば展開長がわからず、何度も試し曲げを余儀なくされる、あるいは、展開のやり直しなど、図面の展開を行う者や現場で曲げ作業を行う者の労働生産性、を低下させている大きな要因となっています。
近年、特に、少量、多品種、短納期、製品精度および製作難易度の高度化、製造コストの削減などの需要に 、いかに正確に迅速に対応できるかが、製造業の大きな課題となっています。
板金作業で、図面展開を行う者、現場で曲げ作業を行う者が複雑な曲げ図面 でも自信をもって、率先 してチャレンジしたくなる物差しが必要となっています。



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